今回の検証は、実際の製作現場でも相談の多いこのテーマに対して、一つの答えを探る内容になります。
コーデュラ610Pは、耐久性に優れたナイロン素材としてバッグや業務用資材によく使われる生地ですが、表面にテフロン加工が施されている場合、防汚・撥水性能が高い反面「インクやプリントが乗りにくい」という課題があります。
特にDTF印刷のようにフィルムを介して圧着する加工では、素材との相性が仕上がりを大きく左右します。

「テフロン加工の上からでもプリントは可能なのか?」
「実用に耐える密着性は確保できるのか?」
そういった疑問を前提に、今回実際にDTF印刷を施して検証を行いました。
まず印象として感じたのは、条件をしっかり整えれば、想像以上にしっかりとプリントが定着するという点です。一般的にテフロン加工は離型性が高く、インクを弾く性質がありますが、圧着温度や圧力、前処理の工夫によっては十分な密着性を確保することができました。

仕上がりの見た目についても、発色は良好で、コーデュラ特有の光沢な質感の上に、DTF特有のしっかりとした色乗りが表現されています。プリント部分だけが不自然に浮くようなこともなく、製品として違和感のない仕上がりでした。
安定した品質を求める場合には
・事前テストの実施
・圧着条件の細かな調整
・用途に応じた耐久性確認
といった工程は欠かせません。
特に業務用バッグや現場使用を前提とした製品の場合、見た目だけでなく「擦れ」「折れ」「水濡れ」といった実使用環境での耐久性も重要になります。今回のように一見しっかり付いているように見えるプリントでも、使用状況によっては剥がれや劣化が起こる可能性があるため、用途に応じた設計が必要です。
とはいえ、これまで「難しい」とされていたテフロン加工生地へのプリントに対して、DTFという選択肢が現実的に使える可能性が見えてきたのは大きな収穫です。デザインの自由度が広がることで、企業ロゴや識別表示、オリジナル製品の展開など、これまで以上に柔軟な対応が可能になります。
hide-aciでは、こうした素材と加工の組み合わせについて、実際の製作を前提にした検証を重ねています。
単に「できる・できない」ではなく、「どの条件なら実用レベルで成立するか」を見極めることが、製品づくりにおいては重要だと考えています。今回の事例もその一つとして、これからDTF印刷や機能素材へのプリントを検討されている方にとって、少しでも参考になれば幸いです。
素材の特性を理解し、適切な加工方法を選ぶことで、製品の可能性は大きく広がります。既製の方法にとらわれず、一つひとつ検証を重ねながら最適解を見つけていく。そうした積み重ねが、最終的な品質の差につながっていくと感じています。
今後も現場ベースの検証結果をもとに、実用的な情報を発信していきます。